相続税の空白期間
(相続税の増税は、いつから・・・?)

平成23年度の税制改正法案が、宙に浮いている。

毎年3月に(ほぼ税制改正大綱どおり)可決されるはずの税制改正法案が、ねじれ国会と東日本大震災の影響により、本日(平成23年6月1日)現在頓挫したままの状態。

実しやかに改正法案自体が修正され、再提出の方向性が囁かれていますが、果たして成立するまでの期間(空白期間)における税務処理はどのように示されるのか・・・?

今年度の改正で、特に関心の高さで注目される【相続税の増税】。当初法案では、『4月1日からの相続について適用』となっているだけに、仮に本日相続が発生した場合には、現行法あるいは新法のいずれに適用されるのかで相当な税負担差が発生致します。

ちなみに今回の相続税に纏わる改正(案)内容としては、

○基礎控除の引き下げ  ・・・(現行)「5千万円+1千万円×法定相続人の数」
              →(改正案)「3千万円+600万円×法定相続人の数」
○税率構造の見直し   ・・・(現行)6段階の累進課税で最高50%
              →(改正案)8段間の累進税率で最高55%
○生命保険金の非課税金額・・・(現行)「500万円×法定相続人の数」
              →(改正案)数部分に生計一親族など限定

などにより、例えば、遺産総額3.5億円(うち5千万円が生命保険金)、妻・子2人(別生計)場合で新旧比較計算をすると、1,470万円の相続税負担増となります。(各種税額控除考慮前)

税の世界では、「租税法規不遡及の原則」という考え方により、納税者にとって不利な規定は遡及が規制されていることもありますが、平成16年4月の土地譲渡損益通算規制が、同年1月に遡った例などを考えると安心できない部分も抱えているというのが現状です。

とは言え、政局に左右され、「増税自体が廃案」になる可能性も捨てきれない現状では、「つなぎ法案」切れの7月を、一つのターニングポイントとして、資産家の皆様には特に注目されてみてはいかがでしょうか?

執筆者 理事 税理士 中島 丈道

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