昨今、熟年離婚の話題が取り上げられています。今回のテーマは「離婚に伴う厚生年金の分割」をご紹介します。
●離婚分割
平成19年4月より当事者の合意または裁判手続きにより按分割合を定める制度です。
当事者の合意で按分割合を決めた場合は、公証人役場で公正証書を作成することになります。
年金の分割請求には公正証書を添付しなければなりません。
次に、裁判手続きですが、これには「家事審判手続き」「家事調停手続き」「人事訴訟手続き」の3とおりがあります。
いずれも、離婚後2年以内に変更・改定の手続きをしなければなりません。
ではいくら分割されるか知りたいときには、配偶者の年金状況を調べることができます。
情報提供の請求を年金事務所に申請することになります。
離婚前ですと請求人に通知が届き、離婚が成立している場合は請求人と相手方の双方に通知されます。
離婚分割のポイントは、
(1)厚生年金の「報酬比例部分」が分割されること
(2)国民年金は対象外であること
(3)多い方から少ない方へ分割されること
(4)按分割合は最大2分の1の範囲内となること
(5)事実婚の解消では分割されないこと
ただし、社会保険制度では事実婚の場合も夫婦とみなされますので、事実婚で被扶養者であった場合は分割の対象となります。
●3号分割
平成20年4月より3号被保険者期間の分割がされることになりました。
これは、離婚分割が合意または裁判手続きが必要でしたが、3号分割の場合は話し合いや裁判所の決定なく請求があれば強制的に分割され按分割合は自動的に2分の1が分割されます。
これは、夫が負担した保険料は妻が共同して負担したという考えからです。
これに期待していた妻がすくなからずいていたと思われますが、分割されますのは平成20年4月以降に第3号被保険者だった期間に限られます。
執筆者 特定社会保険労務士 中島康之